「こころを知る、未来を考える」というタイトルで3回シリーズで開催されていく「ダイアログBAR in 京都大学こころの未来センター」。その第1回目に昨晩、参加してきました。今回のテーマが表記の「つながりから価値を生む」でした。
前半では、ゲストスピーカーの内田由紀子さん(京都大学こころの未来研究センター)がご自身の研究として紹介されていた、農村社会の普及指導員の話が印象に残りました。旧来の村落社会が崩れ、普及指導員の役割が重要になっています。そして、普及指導員には、農業に関する高度な技術と知識の伝達を行う「スペシャリスト機能」と、相互協調的な農村社会の中でネットワーク作りの支援を担う「コーディネート機能」が期待されています。
「つなぎ、価値を生み出す者」に求められる「スペシャリスト機能」「コーディネート機能」。これらは、ratikの事業に置き換えても考えていけそうです。私たちは、何をもって「スペシャリスト」であると言えるのか? また、私たちは、どのような視界をもって「コーディネート」をしていけるのか?
また、農村社会の現場での普及指導の仕事の成否に、普及指導員自身の職場での人間関係の良否が影響を及ぼしている、という調査結果を聞きました。
今、ratikは、幅広い研究者・実践家のみなさんとの「つながり」を築いていかねばなりません。また、「心」をめぐる多様な取り組みを上手く結びつける役割を担っていきたいとも考えています。
しかし、その一方で、身近な関係性を大切にしていくことの重要性にも改めて思いを寄せたところです。現在、ratikの事業運営は、家計の存続に気をもみながら私たち夫婦が中心になって進めています。心に余裕のない状態で居ると、ともすれば無用な諍いも生じてしまいます。視野を広げるのと同じくらいに、毎日接する相手に対する思いやりが必要なんだと思い知らされました。
イベントの後半では、ratikの事業を題材に、小グループのディスカッションの場をもつことができました。ユニバーサルデザインの観点から電子書籍の有する「読み上げ機能」などに期待する声がある一方、紙媒体の書籍の良さについての指摘も受けました。また、私のグループに来てくださった京都大学こころの未来研究センターの阿部修士さん(認知神経科学)には、
- 同じ「心」を扱っていながら、国内の心理学と脳神経科学の間に垣根があるように感じるのは何故でしょうか?
といった問いを投げ掛けてみました。
グループのディスカッションに来てくださったみなさん、ありがとうございました。
惜しむらくは、後半、小グループのディスカッションを円滑に進める上で、もう少し進行側からのファシリテーションがあれば良かったな、というのが率直な感想です。〔ratik・木村 健〕