2017年の5月にratikは法人設立から4年が経過します。
「新しい媒体で本をつくりましょう!」という当初からのページに加え、新たに「豊かに拡がる事業活動の幅」というページを追加した通り、ratikの事業活動は、EPUB版電子書籍の出版にとどまらず、「定款」で謳った「学術コミュニケーションの活性化」を目指し、多様な展開を見せています。
このことは、技術の進歩により、コミュニケーションの内実が変化しつつあり、それに応じて、ratikが持てる力を活かせる場所を模索していることの表れでもあります。
2016年中には、国際日本文化研究センターの機関誌『日本研究』の編集・制作に協力したほか、同センターの研究プロジェクト「キリシタン文学の継承:宣教師の日本語文学」の中で英語論文の日本語翻訳を担当しました。
また、関西大学商学部の長谷川伸先生のゼミ生のみなさんが長年にわたり取り組んでこられた「聞き書き」作品の編集・校正、公開用データの制作を進めており、まもなく、それらのweb公開を実現できるでしょう。
査読システムの立ち上げからご一緒させていただいた日本マインドフルネス学会の機関誌・電子ジャーナル「マインドフルネス研究」は、2016年の年末に無事、第1巻 第1号の発行に辿りつきました。2017年には「マインドフルネス認知療法」をテーマとした特集号の発行も予定されており、その展開が楽しみになってきました。
かといって、電子出版事業をおろそかにしている訳ではありません。
2016年の夏には、行動分析学の武藤崇先生が小説家、映画監督、映像プロデューサーらと演じた他流試合(対談)の録音音源から、書籍用テキストを作成しています。このほか、販売用の体裁で既に校正が最終段階にさしかかっているもの、原稿が完成に近づいているものなどもありますので、2017年春までには、何点かの新刊をお披露目できるでしょう。
2016年のはじめに、一部の電子書籍について、オンデマンドの印刷・製本サービスの提供を開始しています。この間、当初、EPUB形式オンリーで始めた出版事業は、読者の需要に応じるかたちで、PDFファイルの同時提供、PDFファイルの品質向上を経て、デジタル・ファーストで印刷媒体でのコンテンツ提供も可能なレベルに到達したことになります。また、EPUB3の縦書き・電子書籍ファイルの制作にも対応可能になっています。
(「実費」として少し値はかさむのですが、発注していただいてから、早ければ1週間以内に並製本書籍をお手元にお届けできる、という便利さはあります。反面、日中、事務所で仕事をしている間に、100メートルあまりのごく狭い路地を、宅配便のトラックが何度も行き過ぎるような今日の「物流」全般の状況は、果たして望ましいのか、持続可能なのか、という疑問も湧いてきます。)
2016年中は、非常にたくさんの「文章」に接する毎日でした。2017年も同じように「言葉」に囲まれて生活をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 〔ratik・木村 健〕