この5月で、ratikは設立から10年が経過したことになります。
多くの方々に助けられ、また、多くの方々と協力しながら、歩んでこれたことを感謝しつつ、より遠くを目指していきたいと考えているところです。
コロナ禍の中、知の伝達の形は、大きく進歩しました。学会、研究会にオンラインで参加し、先端的な話題をリアルタイムで聴くことができるようになりました。また、動画の撮影・編集技術が上がり、アーカイブされたコンテンツをストレスなく、視聴することも可能になっています。
ratikも、新しい知の伝達の方法を取り入れ、学術・実践のコミュニケーションに尽力できれば、と思います。
その一方で、私には、自分自身が根っからの「書く人/読む人」である、という自覚があります。無造作に投げ出された言葉が多様に解釈され、そこから創造的な発展がもたらされることは否定しません。しかし、まずその前に、言葉を繰り返し選び直し、書いては推敲し、書いては推敲し、…という営みを経て、理路を整え、自らの言説の真意が相手に伝わるようにしたい、と私は願います。また、そのようにして生み出された「書き言葉」にこそ、信頼が置ける、とも考えています。
インターネットを中心として、読まなければならない(と思われる)情報、視聴しなければならない(と思われる)情報が格段に増えた印象があります。そこに巧みに織り込まれた広告・宣伝と合わせ、さながら「他者の時間をいかに奪い取るか」といった状況が生じているようにも感じます。
私は、たとえ少量でも構わないので、しっかりした「書き言葉」で貴重な情報を伝えていきたいです。
〔ratik・木村 健〕