多くの電子書籍販売サイト、たとえばAmazonのKindleストアで本を購入した場合、「DRM(Digital Rights Management)」と称して、書籍データには厳しい「コピー防止策」が講じられているのが普通です。しかし、こうした「著作権保護策」に関しては、
- ユーザーは書籍のデータではなくライセンスを購入しているのに過ぎない
- すなわち、ユーザーは電子書籍を読む権利を購入しているのに過ぎない
と言えるかもしれません。
- 本の購入者が所有権を持たないというシステムはユーザーにとって損失である!
半ばユーモアを込めて、ウィーン工科大学のPeter Purgathofer教授が、「レゴ(!)」を使い「DRM突破マシン」なるものを作成し、ビデオを公開しています。
この記事の元ネタにした紹介記事は、こちら
DIY kindle scanner from peter purgathofer on Vimeo.
現況の「コピー防止策」は、「著作権」の保護というよりも、むしろ商業的な見地から「出版権」「販売権」の保護に重きが置かれています。確かに、技術的な改良により、手持ちのディバイス間で書籍データの同期ができるシステムが導入されました。また、ユーザーにとっては嬉しい「値引き」や「ポイントサービス」は巨大電子書籍販売サイトの魅力ではあります。しかし、Purgathofer教授の言うとおり、強固なDRMが読者に不利益をもたらしている面も否めません(ちなみにPurgathofer教授は「電子書籍そのものに反対しているのではない」と言っています)。
「著作権を守る」という読者の良心に頼るしか手立てがないところが辛いところですが、ratikは「DRMフリー」すなわち「厳格なコピー防止策」を講じずに電子書籍を販売していきます。ただ、「研究・実践」という取り扱い領域の特殊性から、当法人の出版には「或る時は読者として、別の或る時は執筆者として」関わってくださる方が多くなるのだと考えています。そして、企画・編集・制作・販売の事業活動を行うratikの存在意義を認め、その存続に価値を見いだしてくださる方であれば、尚更、「ユーザー重視」のこの販売方式にご協力・ご賛同いただけるのではないかと考えているところです。
まずは、まもなく発刊をご報告できるであろうratikの新刊書籍にご期待いただきたいと思います。〔ratik・木村 健〕