書名:小説セラピー:
物語を書くことで前向きになる方法
著者:串崎 真志
発行年月:2025年4月30日
発行者:特定非営利活動法人ratik
電子書籍ファイル形式:PDF
ISBN:978-4-907438-73-9
ファイル容量:646KB
文字数:約2.9万字
カバーデザイン:ratik 木村 麻子
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小説(物語)を読むことは、心を豊かにするものです。小説を書くことは、私たちの心を自由にします。生きるエネルギーを与え、前向きにすることでしょう。
小説を書いてみたい。物語の世界を、自分でつくってみたい。
そう思ったら、気軽に取り組んでみてください。お金もかかりませんし、家でひとりでも、できます。それでいて気持ちが軽く、楽しくなります。不思議なことに、リフレッシュします。誰かが読んでくれると、さらにうれしいものです。
『小説セラピー』は、そんな、小説を初めて書きたい人のためのガイドブックです。こういう順序で、こんなふうに取り組んだらいい、という初歩的なアドバイスを記した、初心者向けの内容になっています。串崎は心理学者ですから、本書は小説の指南書でもあり、心理学書でもあるという、ちょっと変わった本です。小説の執筆に正解はありません。技巧的なことを気にせず、のびのび書くことを目指しましょう。
『小説セラピー』はそれと同時に、遠野圭人という、ひきこもりの青年が小説の執筆に初挑戦するという、ちょっと変わったカウンセリング(カウンセリングといえるかどうかはわかりませんが)の物語でもあります。小説の執筆に出会うことで、気持ちがこんなふうに変わっていくという、『セラピー小説』としても、読むことができるでしょう。遠野圭人の生き方と小説への取り組みは、物語を書くことで前向きになりたい人にとって、一つのロールモデルになると思います。
…
本書を手にして、小説の執筆に「ああ、これだ!」と、セレンディピティを感じる人が一人でも増えることを願っています。
(本書「はじめに」より)
【目 次】
- はじめに
- 【セラピー篇】
- 第一章 小説を書き始めるまで
- 一 出会い
- 二 カウンセリング
- 三 千里の道も一歩から
- 四 電車に乗る
- 五 セレンディピティ
- 第二章 小説を書く準備
- 一 小説の枠組みを知る
- 二 「小説の書き方」を読んでみる
- 三 場面を描写する練習(1)「今ここ」を文章にする
- 四 場面を描写する練習(2)夏のカフェにて
- 五 場面を描写する練習(3)ブラッシュアップのコツ
- 六 場面を描写する練習(4)冬のカフェを想像する
- 第三章 小説を書き始める
- 一 物語の構成を知る
- 二 短編小説の構成─江國香織「デューク」を読む
- 三 短編小説の描写(1)時間の経過をどう描くか
- 四 短編小説の描写(2)五感の表現とアイテム
- 五 短編小説の描写(3)ブラッシュアップのさらなるコツ
- 第四章 短編小説を書いてみる
- 一 プロットをつくる
- 二 プロットから短編小説へ!─「色づく心」
- 三 推敲を重ねる─冬の公園にて
- 四 生成AIからアドバイスをもらう─「夏の終わりに」
- 五 テイストと物語の厚み─「鈴の音が響くころ」(1)
- 六 アイテムの設定と読者の読み方─「鈴の音が響くころ」(2)
- 第五章 長編に挑む
- 一 長編小説の構成には工夫が必要(1)「セイラン解封記」
- 二 長編小説の構成には工夫が必要(2)篇ごとに考える
- 三 登場人物をどう設定するか(1)性格など
- 四 登場人物をどう設定するか(2)人間関係
- 五 物語をインプットする(1)「ももへの手紙」
- 六 物語をインプットする(2)「かがみの孤城」
- 七 同じようなストーリーになるのをどう防ぐか
- 第六章 物語を書くことはなぜ人を前向きにさせるのか
- 一 ライティング(筆記)の心理的効果に関する研究
- 二 フィクションを書くことの心理学的研究
- 三 客観世界と主観世界(意味の世界)
- 四 たくさんの世界をつくり、たくさんの世界を生きること
- 五 人が前向きになるには、たくさんの世界を探索する必要がある
- 六 遠野さんからのメール─まとめに替えて
- 文 献
- おわりに─物語を書くことで前向きになりたい人へのメッセージ
- 【小説篇】
【著者紹介】
串崎 真志(くしざき まさし)
関西大学 文学部総合人文学科心理学専修 教授、心理学研究科長
博士(人間科学)
1970年山口県生まれ
愛媛大学 法文学部卒業
大阪大学大学院 人間科学研究科 博士後期課程 修了
著書に、
- 『エンパスのためのイメージ練習イラストブック』(単著)特定非営利活動法人ratik、2022年など