書名:世紀転換期の英米哲学における観念論と実在論:
:現代哲学のバックグラウンドの探究
著者:染谷 昌義・小山 虎・齋藤 暢人 編著
発行年月:2024年3月21日(EPUB・PDF)
発行者:特定非営利活動法人ratik
電子書籍ファイル形式:EPUB3.0・リフロー、PDF
ISBN:978-4-907438-64-7(EPUB)
ISBN:978-4-907438-65-4(PDF)
ファイル容量:15.5MB(EPUB)、5.9MB(PDF)
文字数:約21万字
カバーデザイン:POSTICS 溝口 賢
販売価格:電子版 無料公開
◆本研究は JSPS 科研費 JP20K00015 の助成を受けたものです。
世紀転換期の英米哲学における観念論と実在論(EPUB版)
世紀転換期の英米哲学における観念論と実在論(PDF版)
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【バージョン情報】
■最新バージョン:EPUB・PDF ver1.0(2024年3月21日発行)
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本書は、研究タイトルにもあるとおり、世紀転換期の英国および米国において生じていた観念論と実在論の論争、それも特に実在論の側の議論とその意義を明らかにするものである。ここで言われている「世紀転換期」とは、19世紀後半から20世紀前半まで、およそ1880年~1930年までの40〜50年間を指す。この期間に英国とアメリカで生じた観念論哲学とそれに対する批判と論争、批判を支える実在論のさまざまな立場と主張内容を探り、1950年代以降現代に至る英米哲学の哲学的バックグラウンドを明らかにすることが研究の目的だった。
世紀転換期に論文や著作を通して発言していた哲学者たちのうちの多くは、本書を読まれる読者の方にとって、おそらく初めて眼にしたり、名前だけしか聞いたことがないだろうと予想される。私たちにとっても状況は似たようなものだ。いくぶんマニアックな研究であるが、私を含め、本研究に携わった全員が、そうしたいまだあまり知られていない哲学者たちの思考内容を知ることには、前人未到の未開拓地を冒険する面白さと期待を感じていたし、いまでも感じている。なぜなら、現代の哲学とは異なる思考や概念との出会いがそこにはあり、そうした出会いによって現代の哲学的問題を考えるインスピレーションが得られるからである。人類学者が、自分たちとは異なる様式で異なる生活資源を用いる物質文化のなかで生きている人々を知ったとき、自らの生活が相対化され、この生き方が唯一のものではなく別の生き方と生きる道があり得ることを自覚するように、哲学史を旅する者には、現在の慣れきってしまった思考の束縛からいっときであれ解放され別様に考える自由が手に入る。別様の思考がストンと腑に落ちるまでの苦労はあるが、苦労をしてでも手に入れるべき価値がそうした思考にはあるのだ。
(本書「まえがき」より)
【目 次】
- はじめに
- 第1部 実在論の地平
- 第1章 世紀転換期の認識論:認識関係をめぐる論争としての観念論・実在論論争[染谷 昌義]
- 第2部 ブリティッシュリアリズム
- 第2章 ムーアの実在論と英国哲学史におけるその位置づけ[伊藤 遼]
- 第3章 計画の実行、またはやり直し:ボザンケから見た世紀転換期の観念論と実在論[有村 直輝]
- 第4章 フィーリングの形而上学:観念論と実在論のあいだ[齋藤 暢人]
- 第3部 アメリカンリアリズム
- 第5章 「6名の実在論者による探究計画および第一綱領」訳解[大厩 諒]
- 第6章 E・G・スポールディングの分析概念と分析的実在論:世紀転換期アメリカ哲学史(3)[大厩 諒]
- 第7章 もう一つの世紀転換期アメリカ実在論、自然主義:デューイ、ウッドブリッジ、コーエンからネーゲルへと続く「科学的な哲学」の系譜[小山 虎]
- 第8章 観念論的でも機械論的でもない社会のかたち:世紀転換期米国におけるタコの形象[入江 哲朗]
- 第9章 ジョサイア・ロイスの教授学論とその知的文脈:ハーヴァード教育大学院誕生前夜の哲学者たち[岸本 智典]
- 付 録
【編著者紹介】
染谷 昌義(そめや まさよし) はじめに、第1章
東京大学大学院総合文化研究科博士学位取得(2006年)。博士(学術)。専門は心理学の哲学。現在、北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター博士研究員。
著書に
- 『知覚経験の生態学』(勁草書房、2017年)
- Art and Philosophy in the 22nd Century: After Arakawa and Madeline Gins(coauthored, ratik, 2023)
- 『わざの人類学』(共著、京都大学出版会、2021年)
- 『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ』(共著、フィルム・アート社、2019年)
- 『身体とアフォーダンス』(共著、金子書房、2018年)
訳書に
- E.リード『魂から心へ──心理学の誕生』(共訳、講談社学術文庫、2020年)
などがある。
アメリカの知覚心理学者J. J. ギブソンの創始した「知覚と行動への生態学的アプローチ」をもとに、人間を含めた生物が環境に包囲されて生き存在する過程を生け捕りする言葉とアイディアを探している。現在の研究テーマは、無神経な生物(細菌・菌類・植物など神経細胞をもたないのない生物)に心のはたらきを認め、生命活動と心のはたらきとを同一視する「アニマシー心理学」思想の構想、そしてその可能性と意義を探ること。
連絡先:ecoanima11someya@gmail.com
URL:https://researchmap.jp/eco-someya-masayoshi
小山 虎(こやま とら) 第7章
大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了(2004年)。博士(人間科学)。専門は分析哲学、ロボット哲学、分析哲学史。現在、山口大学時間学研究所准教授。
著書に
- 『知られざるコンピューターの思想史』(PLANETS、2022年)
編書に
- 『信頼を考える』(勁草書房、2018年)
- 『多様な一元論』(晃洋書房、近刊)
訳書に
- D. ルイス『世界の複数性について』(共訳、名古屋大学出版会、2016年)
- T. サイダー『四次元主義の哲学』(共訳、春秋社、2007年)
論文に
- 「マクタガートのA理論とB理論の成立経緯と『時間の空間化』」(『科学哲学』、2023年)
- “Analytic philosophy in Japan since 2000” (Asian Journal of Philosophy, 2022年)
- “Against Lewisian Modal Realism from a Metaontological Point of View”(Philosophia, 2017年)
などがある。
分析哲学の中でも存在論や形而上学を専門にしているが、近年は分析形而上学の方法論や歴史などの「メタ形而上学」に強い関心がある。さらにその延長として、分析哲学とカント、ヘーゲル以降のドイツ近代哲学やイギリス観念論、プラグマティズムなどとの連続性や、認知科学、人工知能との歴史的類似性に注目しており、分析哲学の哲学史・科学史的位置づけを再検討することで、分析哲学に対する偏見を除去することを目指している。
連絡先:koyama@yamaguchi-u.ac.jp
URL:https://researchmap.jp/read0054855
齋藤 暢人(さいとう のぶと) 第4章
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻博士学位取得(2005年)。博士(文学)。専門は形而上学、論理学、現象学。現在、中央学院大学現代教養学部教授。
主要論文に
- 「実在論の変容ーアリストテレスからホワイトヘッドへー」(『中央学院大学現代教養論叢』、2023年)
- 「境界について」(『論理哲学研究』、2021年)
- 「メレオトポロジーにおける随伴」(『論理哲学研究』、2019年)
- 「アリストテレス的様相論理のメレオトポロジー的再構築」(『中央学院大学現代教養論叢』、2019年)
などがある。
現在の研究テーマは、メレオロジーを拡張した体系であるメレオトポロジーの理論的整備、およびメレオロジーの思想的背景としてのフッサール、ホワイトヘッドの思想の研究である。世紀転換期の英米哲学の思想史的研究との関連では、パース哲学の現象学的部門に関する研究を将来の課題として挙げておきたい。
連絡先:saitonbt@mc.cgu.ac.jp
URL:https://researchmap.jp/stnbt
【著者紹介】
有村 直輝(ありむら なおき) 第3章
立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了(2021年)。博士(文学)。専門はアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学。現在、立命館大学授業担当講師。
著書に
- 『生成の美と論理──ホワイトヘッドの形而上学』(晃洋書房、2022年)
主な論文に
- 「ホワイトヘッドの「思弁哲学」の形成について──C. D. ブロード批判からの考察」(『アルケー』、2023年)
- 「ホワイトヘッドにおける形而上学と論理学──1924-25年の資料に基づく一考察」(『プロセス思想』、2019年)
などがある。
現在はホワイトヘッドの哲学を19・20世紀の思想史的文脈のうちに位置づける研究に取り組んでいる。また現代のイザベル・ステンゲルスらによるホワイトヘッド哲学の解釈と展開にも関心を向けている。
連絡先:naokiarimura1990@gmail.com
URL:https://researchmap.jp/naoki_arimura
伊藤 遼(いとう りょう) 第2章
University of St Andrews and Stirling University Graduate Programme in Philosophy (SASP) PhD取得(2017年)。専門は、論理の哲学と初期分析哲学史。現在、早稲田大学文学学術院准教授。
論文に
- “An Interpretation of the Gray’s Elegy Argument”(Journal for the History of Analytical Philosophy、vol. 11、2023年)
- 「ラッセルの「見知り」について」(『哲学世界』、vol. 15、2022年)
- 「外部世界をめぐる論争における観念論と実在論」(『プロセス思想』、vol. 22、2022年)
- 「哲学史研究の越境と分業──ある推論主義の立場から」(『文学研究科紀要』、vol. 67、2022年)
などがある。
研究テーマは、推論主義を手がかりにした、さまざまな種類の具体的な推論の分析と、初期分析哲学史における論理観の探究。
連絡先:ryo.ito.822@gmail.com
URL:https://researchmap.jp/ryo-ito
入江 哲朗(いりえ てつろう) 第8章
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(2020年)。博士(学術)。専門はアメリカ思想史、映画批評。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター講師。
著書に
- 『火星の旅人──パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史』(青土社、2020年、表象文化論学会賞奨励賞受賞)
- 『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(共著、フィルムアート社、2018年)
訳書に
- ジェニファー・ラトナー゠ローゼンハーゲン『アメリカを作った思想──五〇〇年の歴史』(ちくま学芸文庫、2021年)
- ブルース・ククリック『アメリカ哲学史──一七二〇年から二〇〇〇年まで』(共訳、勁草書房、2020年)
などがある。
目下のプロジェクトは、『英会話タイムトライアル』(NHK出版)誌上で2022年度に連載していた「現代に息づくアメリカ思想の伝統」を書籍化すること。
連絡先:tetsuroirie@tufs.ac.jp
URL:https://researchmap.jp/t_irie/
大厩 諒(おおまや りょう) 第5章(訳解)、第6章
中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了(2016年)。博士(哲学)。専門は、ウィリアム・ジェイムズを中心とした世紀転換期のアメリカ哲学史、プラグマティズム。現在、中央大学、法政大学、実践女子大学などで兼任講師を務める。
著書に
- 『経験の流れとよどみ──ジェイムズ宇宙論への道程』(晃洋書房、2022年)
- 『ウィリアム・ジェイムズのことば』(共著、教育評論社、2018年)
訳書に
- ブルース・ククリック『アメリカ哲学史──一七二〇年から二〇〇〇年まで』(共訳、勁草書房、2020年)
- ラッセル・B・グッドマン『ウィトゲンシュタインとウィリアム・ジェイムズ──プラグマティズムの水脈』(共訳、岩波書店、2017 年)
がある。
現在の研究テーマは、20世紀初頭の米国における観念論と実在論の実像を歴史的に再構成すること。
連絡先:omyry1983@gmail.com
URL:https://researchmap.jp/omyr
岸本 智典(きしもと とものり) 第9章
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は教育学、アメリカ教育思想史。現在、鶴見大学文学部准教授。
著書に
- 『道徳教育の地図を描く』(編著、教育評論社、2022年)
- 『デューイの思想形成と経験の成長過程』(共著、北樹出版、2022年)
- 『西洋教育思想史[第2版]』(共著、慶應義塾大学出版会、2020年)
- 『ウィリアム・ジェイムズのことば』(編著、教育評論社、2018年)
訳書に
- J. デューイ『デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究、ほか──デモクラシー/プラグマティズム論文集』(共訳、東京大学出版会、2023年)
- B. ククリック『アメリカ哲学史──一七二〇年から二〇〇〇年まで』(共訳、勁草書房、2020年)
論文に
- 「W. ジェイムズ教育論における「注意の持続」の意味」(『日本デューイ学会紀要』第58号、2017年)
などがある。
教育学諸領域(教育課程論・方法論・制度論や道徳教育論、生徒指導論、進路指導論など)を大学にて講義する傍ら、それらの日本での展開史を省みるときに現れる米国の思想や制度との接点を、アメリカ哲学史・思想史の視点から探ることを仕事にしている。特に関心があるのは、古典的プラグマティストたち、特にW. ジェイムズと当時の米国教育界との相互影響関係。
連絡先:fb040580@gmail.com
URL:http://researchmap.jp/t.kishimoto/