120人の自殺未遂者に対する調査から、自殺の動機に迫る研究成果を、ブリティッシュコロンビア大学の研究グループが公表しています。
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調査対象になったのは、3年以内に自殺を試みた通院患者や大学生からなる120人、調査に使われた質問紙については、妥当性・信頼性を高めるための予備調査が実施されているとのことです(現在、この質問紙は臨床的に利用可能)。
調査からは、「衝動の結果」「助けを求める叫びの末路として」「経済的問題などの解決の努力の末に」など、これまで自殺において重要な役割を果たすと考えられていた動機を普遍的なものとして導きだすことはできませんでした。他方、調査対象者に共通してみられたのは「希望の喪失」「感情的苦痛に打ちのめされて」といったことがらでした。
「援助を引き出したい」「他者に影響を与えたい」といった社会的要因から遂行された自殺は、事前に死への意図が表明されることはないものの、未遂で救出される可能性が大きいかたちで実行されているのが特徴でした。他方で、「希望の喪失」「堪え難い苦痛」など当人の内的な要因から実行に移された自殺は、死へのより強い意図をもってシビアな方法で遂行されている、とのことです。
調査自体、デリカシーが要求されるものであったことが想像できます。また、この調査で対象にした「未遂者」と、本当に亡くなってしまった人との間に「動機」の面で差異がないのかも気にかかるところです。〔ratik・木村 健〕