人は「意図的に危害が加えられているモノ」に心が宿っていると認識しがちであることを示す研究成果がPsychological Science誌に掲載されています。
A. F. Ward, A. S. Olsen, D. M. Wegner. The Harm-Made Mind: Observing Victimization Augments Attribution of Minds to Vegetative Patients, Robots, and the Dead. Psychological Science, 2013.
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実験参加者には2種類の「お話」が示されました。例えば、「植物状態に陥った患者」に対して、
- 看護師が意図的に人工栄養の管を抜いてしまう話
- 看護師が完璧に通常のケアを施す話
あるいは、「高度な社会性をもったロボット」に対して、
- 故意にナイフで傷をつける話
- 通常のコミュニケーションをとる話
などです。
こうした場合、実験参加者は「意図的に危害が加えられている」対象に、より強く「心」を帰属させがちであるという結果が出ています。さらに、そうした対象が単に危害を経験しているというだけではなく、怒りの感情を抱き、自己コントロール力を発動させ、将来に向けた計画を立てているといったことまでもを、実験参加者は想定してしまうようです。
ただし「意図的に加えられた危害」の影響は、予め「心」の帰属が明白になされている対象に対しては逆向きの方向に出ているようです。〔ratik・木村 健〕