日本グループ・ダイナミックス学会2013年度の優秀論文賞に内田由紀子さん・遠藤由美さん・柴内康文さんの「人間関係のスタイルと幸福感:つきあいの数と質からの検討」が選ばれています。2012年度刊の『実験社会心理学研究』第52巻1号に掲載された論文です。
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論文の要旨は以下のとおりです。
人間関係への満足は幸福感を予測することが知られている。しかし、人間関係が幅広く、数多くの人とつきあうことが必要なのか、それともストレスが少なくポジティブな感情を感じられるような人間関係を維持することを重視するべきなのかについては明らかではない。本研究は、人間関係のあり方が幸福感とどのように関わるのかを探るため、つきあいの数の多さと、つきあいの質への評価に注目した。
研究1ではソシオグラムを利用して身近な人間関係のグループを特定し、各々のグループの構成人数や、そのつきあいで感じる感情経験などを尋ねた。その結果、つきあいの質への評価が幸福感と関連し、どれだけ多くの人とつきあっているかは幸福感や身体の健康とは関わりをもたないことが示唆された。
研究2ではより広範で一般的な人間関係を対象とし、関係性希求型の項目を加えて、関係志向性における個人差を検討した。結果、一般的にはつきあいの数が多いことと、つきあいの質への評価の双方が重要であるが、人間関係を広く求める「開放型」の人ではつきあう人の数が多いことが、既存の安定的な人間関係を維持しようとする「維持型」の人ではつきあいの質への評価が、それぞれ人生への満足感とより関連することを示した。また、開放型は維持型に比べてより多くの人と良い関係をもち、人生への満足感も高かった。
これらの結果をもとに、人間関係が幸福感に与える影響について検討した。
夏も終わりに近づくこの時期になると、「小学校入学準備」と銘打って学習教材会社から大量の資料が送られてきます。そして、たとえば「黄と黒のシマシマのキャラクター」がDVDのビデオのなかで「友だち、たっくさ〜んできるかなぁ〜!?」と無邪気に叫んでいます。私は、子どもの頃からあった童謡のフレーズ「友だち100人できるかな」には違和感を感じてきました。「友だちって何?」「友だちって多い方が良いの?」…。こうした「問い」に何とか「答え」を出しながら、これまで生きてきたように思います。
この研究成果は、私の素朴な実感(「別に、友だちは100人もいなくて構わない」「人それぞれ…」等々)に沿うもので、何だか嬉しくなりました。〔ratik・木村 健〕