「ストレス」が身体に悪影響をもたらすのではなく、「『ストレスは害がある』と信じること」が身体に悪影響をもたらしている…。ratik理事の廣瀬直哉さんがTwitterで「必見!」とされていたようにケリー・マクゴニガル Kelly McGonigalのTEDのスピーチは非常に見応えがあります。
アメリカでの8年間にわたる3万人の成人を対象にした調査では「あなたは、この1年間にどのくらいにストレスを体験しましたか?」という質問と同時に「あなたは、あなたの健康にとってストレスが有害だと思いますか?」という質問が用意されていました。確かに、過去1年に多大なストレスを経験した人の死亡リスクは43%上昇していました。しかし、このリスクの上昇は、当人が「健康にとってストレスが有害だ」と考えていた層に限ってみられたという驚きの結果が示されます。
これまで健康心理学では「ストレスは健康にとって良くない」ということを喧伝し続けてきた、とマクゴニガルは振り返ります。そして、それが間違ったエネルギーの使い方であったとも…。
ストレスに際して生じる種々の身体反応は、むしろ、チャレンジングな状況を乗り切るための正常なはたらきとみなすことができるでしょう。
たとえば、ストレス時に分泌されるオキシトシンは、神経ホルモンとして、脳の社会的本能を調整する働きを担っています。このことは、人と人とのつながりによってストレスを乗り切って行こうとするメカニズムが、私たちにビルトインされていることを示しているのかもしれません。
マクゴニガルの容姿や、スピーチの格好良さもさることながら、学者として”I am a health psychologist, and my mission is to help people be happier and healthier. “と言い切ることができる強さに感動しました。〔ratik・木村 健〕