NHKスペシャル「病の起源」のシリーズとして第3集「うつ病 ~防衛本能がもたらす宿命~」という番組が放映されることを、ratik理事の串崎真志さんから教えていただきました。放送は総合テレビ2013年10月20日(日)午後9:00からです。
番組の「予告ページ」や「予告動画」によると、今回、注目されているのは「扁桃体」のはたらきと「人間の社会性(孤独に対する脳の弱さ)」であるように思われます。
「扁桃体」は、目の前の状況が危険かどうかを判断する「警報センサー」のようなはたらきをする脳内器官です。脳の中でも刺激に対して素早く反応する部位であり、「恐怖」に関する情動処理を司っています。また同様に、この器官が、「ネガティヴな情動」の生起に深く関与していることも知られています。
外敵の出現に際して、とっさに身を守る…。「扁桃体」のはたらきは、人間の基本的な生存にとって不可欠なものです。しかし、眼前の状況に対して「楽観的であること」を戒めるこの機制が効き過ぎることもまた、生存にとって不利になってしまうことは容易に理解できるところです。
人間の脳内には、「扁桃体」のはたらきを抑制するメカニズムが存在している筈です。番組では「『扁桃体』の暴走」といったセンセーショナルな言葉が使ってあります。しかし。むしろ、こうした自然な「抑制メカニズム」さえも「不足」なものとなってしてしまう「現代の私たちの文明社会」のほうこそ、「暴走」という名に相応しいのではないかと思ってしまいます。
番組がこうしたテーマをどのように扱っていくのか、要注目です。〔ratik・木村 健〕