今や、誰もが持っている「スマ—トフォン」…。
ゲーム、メール、Twitter…、その多機能性に目を奪われがちですが、「きちんと推敲・編集され、内容のある文章」が提供される機会は極めて少なくなっています。
元々ratikの電子書籍は、多くの方が持っているスマホでも読むことができます。
さらに、この度「スマホで読むこと」をより強くイメージした「スマホで考えるシリーズ」の刊行を開始します。
このシリーズの書籍もまた、パソコンや他のディバイスでも読んでいただけます。
しかし、まずは「一番身近な電子機器」の1つである「スマホ」で「電子書籍の醍醐味」を味わってみてください。
「最新の知的な思索」をあなたのお手元に!
■テーマを厳選、読み切りサイズで低価格を実現
通勤・通学の移動時間内に読み切っていただけることを目指しました(もちろん、内容的には「立ち止まって考える」必要のある骨のあるものばかりです)。
巻内に収める題材を限定し、1冊あたり1〜2万字程度の文書量に抑えています。
お試しいただき易い「ワンコイン」の価格設定になっています。
■「スマホ」で読むことの意義
- 日本心理学会機関誌『心理学研究』原著論文19,200字、展望論文38,400字
- 日本哲学会機関誌『哲学』16,000字
これらは、各執筆要項に掲載された主要学術誌の論文1本あたりの上限文字数です。
この数値は、ratikの「スマホで考えるシリーズ」1巻あたりに想定している文書量に近いものではあります。
近年、学術論文の「電子化」は進んできました。しかし、それらの多くは未だ「PDF化」に留まっています。
PDFは「大画面のパソコン」で閲覧する場合には問題ありませんが、「モバイル端末」の小さなディスプレイで読むには不便な形式だと思います(「巨大な象を虫眼鏡で見るストレス」とでも表現できるでしょうか)。
ratikの「スマホで考えるシリーズ」はリフロー型EPUBの形式で、みなさまにお届けします。
あらゆる画面サイズに最適化されるかたちで「文字の大きさ」「ページあたりの字詰め」が調整される「快適な読書環境」をご体験ください。
世界中のあらゆる場所から思索を紡ぎ始めるために!
「今後の学術コミュニケーションのあり方」への一提案として!
■「権威」ではなく「コミュニケーション」のなかで
「スマホで考えるシリーズ」と学術誌に掲載される「査読つき論文」との差異は何でしょうか?
まず第一に考えられるのが「発刊までのスピード」です。
「スマホで考えるシリーズ」は「電子書籍オンリー」で発行します。
このため、きちんと編集・校正の手間をかけますが、印刷媒体に必要な工程が大幅に省略できます。
「原稿校了」から「販売開始」まで「最速1ヶ月未満」といったスピードで、「ホットな議論」を「熱いうちに」みなさまにお届けいたします。
また「スマホで考えるシリーズ」の企画方針は、「たとえ不完全であっても、学術・実践コミュニティに有益な議論をもたらし得るものを!」です。
ratikは、私たち独自の判断で、真に「面白い」と思えるものを世に送り出していきたいと思っています。
研究者・実践家を中心的な読者層には想定していますが、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、広く広く市民一般にコミュニケーションの輪が広がっていくことを目指したいと考えています。
さらに「読者が著者に」「著者が読者に」…といった相互的な循環が生まれてくることを、私たちは願っています。
シリーズ各巻の議論、論証に対する批評、反論、補足などを、お寄せください。
「新たな発見」を是非、電子書籍として発刊いたしましょう!
ご提案をお待ちしています。
電子書籍という媒体を通して「ホットな知的情報」の「キャッチボール」をお楽しみください。〔ratik・木村 健〕
ratikの書籍をスマホで読むための方法については、こちら↓をご参照ください。
スマホで読むためのクイックマニュアル
「スマホで考えるシリーズ〈哲学〉」第一弾として
近刊紹介!
書籍販売ページで販売を始めました!
書名:知識の哲学と生き方の選択
著者:山口 尚
発行年月:2014年7月(予定)
発行者:特定非営利活動法人ratik
ISBN:978-4-907438-08-1
電子書籍ファイル形式:EPUB・リフロー
文字数:約20,000字
販売価格:500円(予価、消費税込)
- なぜ哲学者は知識を論じるのか?
- 知識について何が問題なのか?
- 知識について考えることのいったい何が大切なのか?
知識の哲学をまったく無しに済ませられるひとは世の中にはほとんどいない。
「知識の哲学の不可避性」を「理論/実践」にまたがる「生き方」という概念から斬新に読み解く。
「自由意志」の哲学にも結びつく、新機軸!
「知識」と「単なる臆見」との違いは、どこにあるのでしょうか?
知識を「知識」たらしめるには、その身分を「正当化」するための何等かの「根拠」がある筈だ。
これは、ごく自然な発想(理論)であるように思われます。しかし、たとえば「夢」の想定は、知識の正当化のための努力の一切を無効にしてしまうように思われます。
自分が今、夢を見ているのではないと確実に言えない以上、私たちは世界について何かを「知っている」とは決して言えない。
それにもかかわらず、
私たちの生活の大部分は、世界についての「知識」を前提に成立している。
のも確かです(実践)。「知っている/知らない」という矛盾…。ここに哲学的な「もつれ」が潜んでいることは、容易に理解できるところです。
- 矛盾を矛盾のまま放置する道をとらず、
- 神様に全てを保証してもらう道をとらない、
とすれば、残された道は、厳密な意味での「根拠」の追究は断念するものの、
- 「知識」であることを何らかの意味で客観的に正当化する条件を探っていくしかない
ように感じられます。この道は、「理論」を「実践」の側に合わせて改良していく努力にほかなりません。事実、現代の英語圏の哲学は、これまで、その方向で進んできました。
山口さんの思索の斬新さは、「夢」の想定が明るみに出す「私たちの生活の内部にある『もつれ』」を解きほぐすために、「客観的に正しい回答」を求める道を選ばないところにあります。
私たちは日常の「生」において、常に某かの選択をしています。そして、人生の種々の局面において「何を知っているのか/何を知らないのか」についても同様に、その都度、選び取っていかねばならないのです。
単なる「当てずっぽう」ではなく、かといって、「どうでもよい選択」でもない…。こうして、
知識とは何か?
という問い(知識の哲学)が、「職業哲学者」だけでなく「私たち」一般にとっての問いになっていくのです。〔ratik・木村 健〕
【目次】
はじめに
1. 知識とは何か
- 1-1 三種類の知識
- 1-2 いろいろな命題知
- 1-3 知覚による知識
2. 夢論証、 その内容と重要性
- 2-1 夢論証
- 2-2 夢論証と私たちの実際の⽣き⽅
- 2-3 知識と正当化
- 2-4 知識・正当化・確実性
- 2-5 夢論証の重要な指摘
3. 知識の哲学の 不可避性
- 3-1 知識をめぐる衝突への対応
- 3-2 知識と⽣き⽅の問題
- 3-3 知識の哲学の重要性
【著者紹介】
山口 尚(やまぐち しょう)
大阪工業大学講師、京都大学講師
博士(人間環境学)
1978年生まれ
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了
著書に
- 『クオリアの哲学と知識論証:メアリーが知ったこと』春秋社、2012年
論文に
- 「宿命論と人生の意味──『ジョジョの奇妙な冒険』第五部エピローグの解釈」『Prospectus』15号(2012)pp.1-12
- 「クリプキの「信念のパズル」に対する批判──「通常」という概念をめぐって」Contemporary and Applied Philosophy Vol. 4 (2012) pp.35-64
- 「神の命令倫理学の利点──ネーゲルとノージックの「人生の意味」論に依拠して」『宗教と倫理』11号(2011)pp.81-95 など