新婚夫婦を対象に結婚直後から1年ごとに実施された調査で、妻の身体的自己評価の落ち込み対し、夫の側の「ハイな気分」を明らかにする結果がJournal of Gender Studiesで報告されています。
Cast, A. D., Stewart, S. D., & Erickson, M. J. (2013). Why do men feel more attractive after childbirth?. Journal of Gender Studies, (ahead-of-print), 1-9.
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182組のヘテロ・セクシュアルのカップルを対象とした結婚後3時点の追跡調査から、出産を経て、妻の身体的自己評価が一貫して落ち込みをみせるなか、結婚初年度に「お父さん」になった男性は「自分の身体的な魅力が増した」と感じるケースが多くなっていることが明らかになっています。また、結婚2年目以降に子どもが誕生したケースでは、これほどまでの気分の高揚はみられないようですが、それでも身体的自己評価の上昇は幾年か継続するようです。
調査では、こうした事象に対する原因の特定までには踏み込んでいません。また、考慮しておかねばならないのが、この調査が「1990年代初頭」「アメリカ」「白人」「中産階級」をターゲットにしたものであったことです。別の研究では、アフリカ系アメリカ人女性では、出産を機に身体的自己評価が高まるという報告がなされているようです。
近年、日本では「イクメン」という言葉がポジティヴな意味で定着してきました。また、それにより男性の育児参加が促されたことは評価すべきことなのかもしれません。しかし、性差にまつわる自己感情が、その時代、その文化に依存している様には敏感であるべきだと思います。〔ratik・木村 健〕