たとえば、お金にまつわる交渉で「明細で正確な金額」を用いるほうが「丸めた金額」を使うよりも、より有利に交渉を進められるという結果を示す研究がJournal of Experimental Social Psychologyに掲載されています。
Malia F. Mason, Alice J. Lee, Elizabeth A. Wiley, Daniel R. Ames. Precise offers are potent anchors: Conciliatory counteroffers and attributions of knowledge in negotiations. Journal of Experimental Social Psychology, 2013; 49 (4)
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交渉の最初の金額提示の場面で「5,015円になります」と言われる場合と「5,000円になります」と言われる場合とを比較すると、言葉を受け取る側は、前者のほうが「より真実に近い価格を提示されている」と認識しがちであると、この研究では結論づけています。交渉のシナリオにおいて、数字を提示される側は「提示する側はじっくり準備してきているので、交渉の余地はもはやない…」という或る種の幻想を植え付けられ得るということです。
さて、不況下の昨今、この方略には使い道があるのでしょうか…。〔ratik・木村 健〕