子どもを対象にしたシャーデンフロイデ(Schadenfreude)の研究がBritish Journal of Developmental Psychologyに掲載されています。
Schulz, K., Rudolph, A., Tscharaktschiew, N., and Rudolph, U. (2013). Daniel has fallen into a muddy puddle – Schadenfreude or sympathy? British Journal of Developmental Psychology
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日本語でいえば「他人の不幸は蜜の味」という諺で扱っている感情と同じ、といった説明がなされることが多いシャーデンフロイデ(Scadenfreude)。この「ちょっと意地悪い感情」は、研究対象となった4〜8歳、どの年齢層にもみられたということです。
実験では、紙芝居のような形で子どもたちに、「良い/悪い」行いをしていた人が後で不運な出来事に遭遇するというストーリーの寸劇が示されました。
余談ですが、研究結果として、「良い」行いをしていた人が後で不運な出来事に遭遇するというストーリーを見せられた場合に、シャーデンフロイデ(Scadenfreude)はほとんど検出されなかったとあるのですが…。
「悪い」行いをしていた人が後で不運な出来事に遭遇するというストーリーを見せられた後で喜ぶというのは、「勧善懲悪」のストーリーを好む正義感の延長であるように思えます。それに対し、日本語でいう「他人の不幸は蜜の味」には、もう少し薄暗い感じ、すなわち、むしろ「良い」行いをしていた人が後で不運な出来事に遭遇するというストーリーを見せられた後で喜ぶといったケースを指すのではないかと思います。この場合、喜ぶ本人にとっては、「良い」行いをしていた人に対して、別の文脈でネガティヴな評価が下っていなければならないでしょうが…。
このあたりは、感情の文化差、感情の文法の違いなどがあるのかもしれません。〔ratik・木村 健〕